3.11 東日本大震災の記憶
2011年3月11日。午後2時46分。
あの日のことは、今でもはっきりと覚えています。
当時の私は、サラリーマンと船長という二足の草鞋を履いていました。
勤務地は永田町。
山王パークタワー21階のトレーディングルームです。
株式市場の取引終了まで、あと少しという時間でした。
その瞬間でした。
突然、これまで経験したことのない大きな揺れが建物を襲いました。
机が動き、モニターが揺れ、トレーダーたちのシステムは倒れそうになる。
株式市場は急落しました。
そしてスクリーンに映し出されたのは、想像を超える言葉でした。
「大津波警報」
それが、東日本大震災の始まりでした。
首都圏515万人の帰宅困難者
地震の後、交通機関は完全に止まりました。
首都圏では約515万人の帰宅困難者が発生したと言われています。
道路は車で埋まり、まったく動きません。
歩道も側道も、人の波で埋め尽くされていました。
その日、私はまだサラリーマン。
すると近くに住む同僚が「これで帰れ」と、自転車を貸してくれました。
永田町から茅ヶ崎へ。
夜9時、とても寒い日でしたが、私はスーツ一枚のまま永田町を出発しました。
目指すのは湘南・茅ヶ崎。距離は約70kmです。
家族も船も心配でした。
湘南にも大津波警報が出ていたからです。
必死にペダルを漕ぎ続けました。
しかし途中で道が分からなくなり、何も考える余裕がないまま、いつも使っている第三京浜に強行突入してしまいました。
全く動かない車を横目に、誰からもお咎めもなく、車の横を走り抜けていきました。
途中でさすがに「このまま走るのはまずい」と我に返り、フェンスを越えて自転車を担ぎ、一般道へ戻る。
そんなことを繰り返しながら、夜の街を走り続けました。
途中転倒1回。
スーツは破れましたが、無事に自宅へ到着したのは6時間半後の夜中3時半でした。
疲れ切っていましたが、家族の顔を見た瞬間、ほっとしたことを今でも覚えています。
母は震源地・宮城県松島にいた
しかしその時、もう一つ大きな心配がありました。
母はその時、震源地に近い宮城県松島へ旅行中だったのです。
電話はつながらない。連絡もない。母は1週間安否不明となりました。
テレビに映る津波の映像を見ながら、ただ祈ることしかできませんでした。
後に分かったのは、母は自衛隊のヘリコプターで救助され、避難所へ搬送されていたということでした。
奇跡的な生還でした。
あの時の安堵は、今でも忘れることができません。
22,000人以上の命が失われた震災
この震災では、死者 15,899人、行方不明者 約2,500人という甚大な被害が出ました。
さらに、避難生活による体調悪化などで亡くなられた震災関連死を含めると、失われた命は22,000人以上にのぼるとされています。
そして今もなお、多くの方が行方不明のままです。
海の仕事に携わる者として、行方不明の方々のことを思うと、いたたまれない気持ちになります。
湘南にも押し寄せた津波!?
湘南では幸い大きな被害はありませんでした。
しかし当時の話では、湘南のシンボルである、烏帽子岩(高さ約14.6m)の上の方まで
波が来たとも言われています。
海の力の大きさを改めて感じました。
もし海上で地震が起きたら
私はいつも考えています。
もし海上で地震が起きたらどうするか。
海上保安庁や消防との津波訓練も経験してきました。
船舶において重要なのは
・人命救助
・沖出し(沖へ避難すること)
です。
地震が発生した場合は、最低でも水深50メートル以上、できれば水深100メートル以上の海域へ避難します。
実際、この震災でも沖に出た船は被害を免れ、港や沿岸に停舶していた船は流されるという結果になりました。
海は怖いだけではありません
地震や津波と聞くと「海は怖い」というイメージを持たれる方も多いと思います。
しかし実際には、水深100メートル以上の海域では津波は大きなうねりとなり、船はその波の上に乗ることができます。
むしろ沿岸部や地上の方が危険になる場合も少なくありません。
散骨クルーズ中に地震が起きた場合
確率は極めて低いですが、もし散骨クルーズ中に地震が発生した場合、BIG TAK IIでは地上との連絡を取りながら、安全が確認できるまで適切に沖出しを行います。
また船内には、飲料水、食料、安全装備も備えておりますのでご安心ください。
海とともに仕事をするということ
私たちは日々、海の上で多くの方の大切な時間に立ち会っています。
海は穏やかな日もあれば、時に厳しい表情を見せることもあります。
だからこそ、海の力を決して軽く見ることなく、常に敬意を持って向き合うことが大切だと考えています。
その静かな海の上で、ご家族が手を合わせ、大切な方を送り出す時間は、とても大切で尊いひとときです。
私たちは海への敬意を忘れず、これからも安全航行を第一に皆様の大切な想いをお守りしていきます。
※弊社船舶BIG TAKⅡは、国土交通省内航不定期航路届出済み船舶で、弊社の船舶の性能により、運行基準を以下の様に定めており、各数値のいずれかが基準値に達した場合には運行を見合わせております。
■風速:12m以上 ■波高:1.2m以上 ■視程:1000m以下
又、ご乗船人数や高齢者、お子様がご乗船されるかなどの他、航行海域及び風向きによっては運行基準内であっても出航を見合わせる場合がございますので、あらかじめご了承ください。






